宅録とは
「宅録」と聞いてどんなことをイメージしますか??
音楽専用部屋の机上に高性能パソコン、それをコックピットのように取り囲む機材の数々、といったところでしょうか。
もちろんプロの音楽関係者の方は最高の音創りのため部屋を宅録向けに整備された環境にされている場合があると思いますがこのサイトでは「素人」が「手軽」に「高いコスパ」で音楽を楽しむことを目的としているので、いきなり、さあ必要機材はこれですべて揃えましょう、という内容にはなっていません。
そもそもなぜ宅録に興味をもったのか??
自分の演奏を客観的に聴いてみたい、他の人にも聴いてほしい、バンドでみんなの音源を編成して曲にしたい、作曲したい、人それぞれの楽しみ方、やってみたいことがあると思います。
そこで弾き語りによる宅録をパターン別にしてみましたのでまずは自分にあったパターンをイメージしてみましょう。
なお、似たような用語があるのでここで解説しておきます。
弾き語りの録音パターン
アコギ+歌というシンプルな弾き語りを一発録りする場合に、どの機材を使って録音するかのパターンです。
パターン | 録音機材 | ① 音質 | ② 使い勝手 | ③ 価格 | 主な特徴 |
ⅰ | スマホ | △ | ◎ | 無料~ | 使い勝手が良い。音質はスマホにより区々 |
ⅱ | ICレコーダ | 〇 | ◎ | 1万円~ | ボタン一つで録音。PCM方式による録音はCD以上の音質 |
ⅲ | コンデンサーマイク | ◎ | △ | 6千円~ | 最も良い音質で録音できる。利用には他の機材も必要(オーディオインターフェースあるいはMTRなど) |
観点は分かりやすくするため一般的な記載をしていますので、ご自身の状況に照らして評価は変わる場合があります。
それでは各パターンを見ていきましょう。The Beatlesの曲「Lady Madonna」を弾き語り演奏し、同時に3つの方法で一発録りを行った音源 (スマホ、ICレコーダ、コンデンサーマイクを並べて同時録音) を公開していますのでぜひ違いがわかるようにイヤホンで聞き比べてみてください。
録音機材パターン ⅰ :スマホ
パターン | 録音機材 | ① 音質 | ② 使い勝手 | ③ 価格 | 主な特徴 |
ⅰ | スマホ | △ | ◎ | 無料~ | 使い勝手が良い。音質はスマホにより区々 |
はじめにスマホを使って録音するパターンです。持っているスマホを利用するので準備もほとんどかからず、何より使い勝手が良いです。
まずはここから始めることをお勧めします。
もしかすると、はじめは自分の演奏や歌を録音することや、聴いてみること自体、恥ずかしかったり抵抗感があるかもしれませんが無理に人に聴かせる必要はなくコソコソやればOKです!そのうち少し自信がついてきて演奏聴いて欲しい~となってくればしめたものです。
そうなってくると気になってくるのが「音質」です。
スマホ機器によっては本体のマイク音質が高いものもありますが一般的には音質はいまいちです。一方で音質を求めるために高いスマホ本体を買うのであれば、価格面では他の音楽専用機材を揃えたほうが安くつく場合もあります。
こちらは The Beatlesの「Lady Madonna」 をスマホ(HUWAI)の録音アプリで弾き語り一発録りした音源です。
スマホの設置位置を工夫(声がギターに負けないように拾うため、口と同じ高さで口から20cmほどの距離にスマホを設置。ギターや声の大小・スマホ機器やアプリにより最適な距離等は異なります)したこともあり、そこそこの音質で録れていると思いますが、音の質が軽く奥行きがなくてキンキンした音になってしまっているのは否めません。
<使用した機材>
Recorder:mobile(HUAWEI)
Ac.guitar:Gibson J-45
Rhythm machine :VOX MINI5 Rhythm
録音機材パターン ⅱ :ICレコーダ
パターン | 録音機材 | ① 音質 | ② 使い勝手 | ③ 価格 | 主な特徴 |
ⅱ | ICレコーダ | 〇 | ◎ | 1万円~ | ボタン一つで録音。PCM方式による録音はCD以上の音質 |
次はICレコーダによる録音です。専用の録音機材となるため音質や使い勝手が良い商品もあります。
こちらは The Beatlesの「Lady Madonna」 をICレコーダ(SONY PCM-A10)で弾き語り一発録りした音源です。
前述のスマホによる録音音源と全く同じ演奏ですが、個々の楽器・ボーカル音の輪郭がはっきりして音に奥行きが出てきます。
僕の使っているICレコーダはSONYのPCM-A10で、手のひらサイズのコンパクトさに、ハイレゾ対応でCD以上の音質で録音できます。
また自動リミッター機能(過剰な音量をカットする)がついているので、ライブやスタジオなど各種楽器からの爆音の中で録音しても音が割れずきれいに録ることができます。実際にスタジオで爆音の中で録音するとPCM-A10が赤くウルトラマンのカラータイマーみたいにピカピカ赤く点灯しだしたので驚きましたが、リミッター機能が自動で起動していたためで、ちゃんと各楽器パート音がバランス良く録音できていました。バンドメンバ間で演奏内容を振り返るときに重宝しています。
バンドなどの大音量だけではなく音楽ホールでのピアノ演奏など広がりのある空間でもシーンを選ばずきれいに録音することができます。
<使用した機材>
Recorder:SONY PCM A-10
Ac.guitar:Gibson J-45
Rhythm machine :VOX MINI5 Rhythm
録音機材パターン ⅲ :コンデンサーマイク
最後にコンデンサーマイクによる録音です。
パターン | 録音機材 | ① 音質 | ② 使い勝手 | ③ 価格 | 主な特徴 |
ⅲ | コンデンサーマイク | ◎ | △ | 6千円~ | 最も良い音質で録音できる。利用には他の機材も必要(オーディオインターフェースあるいはMTRなど) |
音質の点ではコンデンサーマイクが一番きれいに録音できます。カラオケやライブで一般的に使われているダイナミックマイク(代表的なのはSHUREのSM58)とは異なり、コンデンサーマイクは主に録音に使われるマイクです。マイク周辺の広い範囲から収音するため空気感のある自然な音を録音することができます。ただし周りの生活音も拾ってしまうことから静かな環境や時間帯で利用する必要がある、ファンタム電源といって何らかの機材との接続が必要になる点(パソコンやMTR、オーディオインターフェース等)では少し手間がかかる録音方法になります。
手間がかかる分、音は良いです。僕は宅録ではかなり安いコンデンサーマイクであるマランツ MPM-1000 を使っていますが、素人が宅録を楽しむうえでは十分な音質、コスパなのではないかと思っています。
こちらは The Beatlesの「Lady Madonna」 を コンデンサーマイク (マランツ MPM-1000) で弾き語り一発録りした音源です。 PCM レコーダよりさらに奥行きのある深い音で撮ることができます。
<使用した機材>
Recorder:condenser mic marantz「MPM-1000」
Ac.guitar:Gibson J-45
Rhythm machine :VOX MINI5 Rhythm
コンデンサーマイクで各パートを個別に録音する
また、以上は弾き語りの一発録りですが、ギター・ボーカルを個別にコンデンサーマイクで録音すると、ひとつひとつの楽器に対して音の強弱を調整したりエフェクトを付与できるのでさらに音源の完成度を上げることができます。少し手間がかかりますがいわゆる宅録っぽくなってきます。
The Beatlesの「Lady Madonna」 で簡単な宅録とDTMをやってみた音源、手順についてはこちらの関連記事をご参照ください。
弾き語り宅録のパターン まとめ
お手軽なものから少し専用機材を使うものまで紹介しました。
それぞれのシーンにあった方法で楽しんでください!
ちなみに今回の演奏した The Beatles「Lady Madonna」の原曲はこちらです。
また、斉藤和義の曲「赤いヒマワリ」でも録音方法の違いによる一発録りパターンをこちらに掲載しています。ご参考ください。
関連記事:アコギ弾き語りの録音一発録りパターン(その2)- 音源で聴き比べ
関連記事:音楽コラボレーション。個人~複数で楽しむ